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また今日も夫は家に帰ってこなかった。
食べられる宛のない夕食にラップをかけ冷蔵庫へと入れる。埃一つない完璧に掃除し終わった部屋で一人ぼっち。
大きな本革のソファに座り込んだ。
何回かけてもやはり夫の携帯電話は繋がらずに留守電へと切り替わる。
ふと家の電話を見ると留守電のボタンがピカピカ光っている、「夫から電話」と期待して再生のボタンを押した。
「梨花、元気にしていますか?遠太郎さんとはうまくやっていますか?母さんはいつでも梨花の幸せを祈っています」
それだけ言うと機械的な音声が流れて再生が終わった。
一筋の涙が頬を伝う。
母さんごめん、私今幸せじゃないかもしれない。
肌寒いベランダに出て星を眺めると、ここ東京では雲一つない冬の夜なのに都会のネオンに負けて星は見えない。
いつからこうなったんだろう。
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