さみしいからだ

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私のからだを愛してくれたあなたなら わかってもらえる気がしてならない さみしいからだ あなたがどこかへ行ってしまっているようで みんながどこかへ行ってしまっているようで ほんの少しだけの悲しさはきっと、おなかがすいているから。昨日の生理痛をまだ引きずっていて、見たこともない私の子の顔を見てしまった、私はその子に、会ってくれてありがとうと、言うのだろう さみしいからだ みんなさみしい水曜日をもてあそんでいる 私は一人 仕事がないようであるような日曜日ばかりうろうろしている あなたがどこかへ行ってしまっているようで みんながどこかへ行ってしまっているようで 閉ざされた扉 開けようとしてもノブがない そっと そっと見てみたら 隙間があって 扉は押すものではなくひくものだ と 知った ありがとう 二人でいるときと 一人でいるときの どちらのさみしさも教えてくれて 私は大人になりきれないけれど さみしい からだを持て余している 潮騒の音が、私の内側から聞こえてくる。え、なんですか? とても気持ちが悪いのだけど、目をつぶったら私が私でなくなって、どんどん広い海になって、風景と化していく。内臓が内側に汗をかきだし、私の内側が海になっていく。要らない、要らないと駄々をこねる生まれていない子の姿が見える(孕んでもいないのに)水分は全て尿となって外へ出てくる気がするのを、私は朝陽を浴びるような神聖さと共に感じていた。 光の透明度が変わっていって 私はふと さみしいからだに差す陽の光の角度を思い知る 私が一生さみしいからだと付き合うための これは前触れだったのだと 分かり合えない自分のからだと 今日も一対一で 糸電話をしている
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