16.酒蔵祭り

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 ややして諦めたように小さく吐息を落とすと、 「……式前の大事な時期です。くれぐれも体調にだけは気を付けてくださいね。僕も車を置いたら日織(ひおり)さんのいらっしゃるブースに顔を出しますので」  そう告げてチラリと恨めしげに日織(ひおり)を見遣って前方に視線を戻すと、ハンドルを握る手に力を込めてもう一度だけはぁーと大きく溜め息をついた。 「そっ、そんなに急がれなくても私、本当大丈夫ですよっ?」  〝即行で〟に力を込めたからだろうか。  途端、日織(ひおり)がひゃわひゃわと慌てたように手を振ったけれど、そこは黙殺した修太郎(しゅうたろう)だ。  まぁ、修太郎が心配するのもある意味仕方がないことではあるのだ。
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