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「どう? 可愛い子でしょ?」
「黙れ」
誠也は、ニヤつきながら上体を近づけてきた母親をスマホごと追いやった。
正直なところ、写真の少女は、悪くない外見だった。可愛いらしい容姿でありながらも、どこか凛としていた。
誠也が日頃からうざいと思っている、女子高生ならではのギャルっぽさは、彼女からは一つも感じられなかった。
対して根暗のような感じでもなく、強いて言えば、純粋な少年のような雰囲気をかもちだしていた。
(こいつ、男嫌いなら、もしかすると女ならではの面倒くささとかないのかもな)
誠也は、部屋のベットに寝転がりながら、同居の話をじっくりと考えた。二段ベットなので、上の段からは動画を見て笑う弟の声が聞こえてくる。
(芳樹ももう中一だし、そろそろ一人部屋がいいだろうな。母さんも楽になるだろうし、……やってみてもいいかもしれない)
明日の朝、改めて母親に返事をしようと思いながら誠也はそのまま眠りについた。
しかし、彼はもうすぐこの選択がとてつもなく甘かった事を身に染みて感じることとなる。
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