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 その日、ファミレスのバイトを終え帰路に就こうとしていた誠也は疲れ果てていた。  バイト自体は客も少なく比較的に楽だった。それなのに、なぜ彼がこんなにも疲れているかというと、バイトが終わって直ぐ、職場まで押しかけてきた元カノの友達に、長々と理不尽な説教をされた後だったからだ。  説教の理由は、誠也が元カノに、構わなさ過ぎて酷いとの事だった。三対一で囲まれて責められたが、元カノは俯いて泣いているだけで、文句を言ってきたのは関係のない彼女の友達二人だった。  (つーか、なんで俺怒られてるわけ? 構わなくても別にいいから、付き合ってくれって言ったのそっちじゃんかよ。代わりの男だって、いたんじゃねーのかよ)  うんざりしながら、誠也は自転車を漕いでいた。  「うわ、寒」  四月の半ば、夜は少し肌寒かった。  制服のカーデガンを着てこなかった事を後悔し、いつもの道を通って家へ向かう。  途中、コンビニで何か買おうと思ったが、あまりにも疲れていたので寄らずに前を通り過ぎた。  (だから女子は嫌いなんだ。めんどくせーし、群れるし)  やっと家に着いた、と思いながら自分の家を見つめた。  今日の一日は付いていなかったし、長かった。  団地の駐輪場に自転車を止め、今日最後の元気を振り絞って二階までの階段を駆け上がる。  ただ、これからもっと疲れる事が待っているともしらずに、誠也は勢いよく玄関の扉を開けた。  「ただいまーっ!」  
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