Sista Kapitel

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……えっ? リリは虚を衝かれた。 ……もしかして、大尉は私のことを心配して、あのようなことをおっしゃったの? 「修道女だけではなく、ウルラ=ブリッドからも『入れ知恵』をされていたとは……」 大尉は軍人らしい節くれ立った指で顳顬(こめかみ)を押さえながら、唸るようにつぶやいた。 「……リリコンヴァーリェ嬢」 大尉は突然、改まった口調でリリの名を呼んだ。 「私の生家は、確かにあなたが思うとおり、生粋の『貴族の家』だ」 軍人らしく感情をいっさい取り除いて淡々と告げるその冷徹さに、リリはなんだか圧倒されて思わず背筋を正した。 「我がグランホルム家では、婚姻関係を結ぶ目的は、子孫を遺して血筋を守るため以外には考えられない」
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