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【 プロローグ 】
『ヒュ~ッ……、ヒュ~ッ……』
今日はやけに月が大きく見える。
これが、スーパームーンっていうやつなのかもしれない……。
私は、曾お爺ちゃんの祖国へやってきた。
それから12年、今、私は東京のとあるビルの屋上にきている。
50m程のコンクリートに囲まれたこの場所から、1m程の金網のフェンスを乗り越える。
足元が少し恐怖でふらつく。私は思わず、フェンスにしがみ付いた。
下では、車のクラクションやパトカーのサイレンの音がけたたましく鳴り響いている。
そこから、見えた景色は、今の私にとって、決して美しいものじゃない。
冷たい夜風が、私の長くなった栗色の髪と、曾お爺ちゃんの祖国で買った、このローズピンクのスカートをフワフワと揺らしていた。
私はこれから、曾お爺ちゃんのところへ逝く……。
私は曾お爺ちゃんの祖国へ来たことを後悔していたんだ……。
ここから、大きな満月を見ていたら、お爺ちゃんやお父さんから伝え聞いた、曾お爺ちゃんのあのお話を思い出した……。
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