ぼくの字がへたな理由

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「おじさん?お兄さん?」 「なぜそんなことをきく?」 「ぼく目が悪いの」 「お兄さんだ」 「お兄さん、自衛隊?」 「なぜわかる?」 「迷彩服着てるから」 「自衛隊でなくても迷彩服を着ている人はたくさんいる」 「迷彩服を着てこんなところで道路を作っているのは自衛隊しかいないよ」 「きみ頭がいいな」 「お兄さん、ぼく自衛隊にお願いがあるの」 「民間人と話をするのは禁じられている」 「民間人と話ができるひといる?」 「たとえば誰だ?」 「会社でいうと社長さん」 「社長はいない」 「だれならいるの?」 「課長ならいる」 「課長さん民間人と話できる?」 「できる」 「じゃあ課長さん紹介して」 「明日の同じ時間にここに来なさい」 「お兄さんありがとう」 「なにをしている?」 「とーちゃーん!なに迷彩服なんて着てるの?かっこいいー」 「おれおまえの父ちゃんじゃない」 「ねえ、だっこしてお顔見せて」 「なぜそんなことをする」 「ぼく目が悪いの。・・・ほんとだ。父ちゃんじゃない。この人課長さん?」 「課長じゃない。軍曹だ。」 「失礼しました。敬礼!」 「おまえ自衛隊にお願いがあるそうだな」 「ぼくノウシュヨウなんだって。イシャにも治せないんだって。だから自衛隊に軍事機器をつかってぼくを治してほしいの」 「おまえおもしろいやつだな」 「なおせないの?」 「病気だったことが分からないくらいきれいに治せる。ただし条件がある」 「条件ってなに?」 「自衛隊に入隊することだ。」 「適性テストをする。何かしりたいことをひとつだけこの自衛官に質問していい。誰か他の人に質問させてその様子を見てからおまえが質問しろ」 「テストで100点とるにはどうすればいいですか」 「軍事機密だ」 「出世するにはどうすればいいですか」 「軍事機密だ」 「金持ちになるにはどうすればいいですか」 「軍事機密だ」 「幸せになるにはどうすればいいですか」 「軍事機密だ」 「わかった」 「次はおまえの番だ」 「自衛隊が僕に教えたいことはなんだ?」 「もういい、言うな」 「うーん残念。もう少しで軍事機密を教えてもらえたのに」 「おまえの病気を完全に治すことができるが完全に治すと証拠が残らないから右手を麻痺させる。箸を持ってごはんを食べれないか、ペンを持って字を書けないか、どちらかを選べ」 「僕、箸を持ってごはん食べたいから、ペンを持って字を書けないにする。」 「ほかに何か言いたいことはあるか」 「右手で歯ブラシを持って歯磨きしたい」 「ほかにあるか」 「右手でマグカップを持ってコーヒーが飲みたい」 「その二つはできるようにしてやろう」
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