僕と変人の交遊録―赤松礼詞は超偏屈科学者―

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 急に決まった飛び級受験を何とかこなし、無事に大学生となった陣内暁良だったが、やっていることはアルバイトと変わらない状況だった。 「路人! また散らかしたな!!」  研究室に響く暁良の怒号。それに反応するのは呼ばれた一色路人ではなく、助手を務める城田翔摩と桜井瑛真だ。 「またやっているよ」 「本当に変わらない状況になるとは思わなかったわね」  大学に戻りたくないと駄々をこねていた路人を素直にしただけでなく、その路人が自分らしくいられる相手。それが暁良なのだが、路人との関係の変化のなさには驚かされるばかりだ。 「だって、やれって言われていることが多すぎる。散らかって当然だろ」  教授とは思えない一言を偉そうに言う路人は、床一面に散らかした書類の真ん中で腕を組んで片付けないつもりだ。暁良に甘えている部分が多々ある。そんな路人はこれでも天才科学者であり、28歳の立派な大人だ。 「お前なあ。この状況だったら何がいる書類か解らないだろうが!」
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