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※※※
出会い、などといっても、それは甘いクリスマスの夜を予想させるような、そういう相手との運命的なそれでは断じてなかった。普通の思考ならば信じないしありえない、考えられない現象が目の前で起こるのだ。
端的にいおう。
俺が自宅に帰ってみると、そこには女の幽霊がいた。
「……は?」
いや初めは、それが幽霊かどうかなんて、判別できなかった。
彼女は俺の万年床に仰向けになって――すやすやと気持ちよさげに眠っていた。幽霊が眠るというのも、変な話だが。
「おい」
警戒心という名の、物理的な距離を置いて呼びかけたが、反応はなかった。通報しようかと思ったが、家に知らない女がいるから通報したというのも、なんだか後々面倒なことになりそうな気がした。
武器を持っているようにも見えないし、面倒だが自分で対処するか――。
俺は彼女に近寄った。そして手を伸ばした。
「おい、あんた……」
そこで物理的にナンセンスな事象が発生した。なんと、俺の腕が、彼女の身体をすり抜けたのだ――。
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