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「くっ……ふぅ……やっと、ここまで来たか」
「もう少し、もう少しで帰れるよぉ〜」
「ここからが本番でしょ」
剣士・イグゼルは2人の仲間、白魔導士のリーゲルと魔剣士のアウラと共に、不穏な空気を放つ城を見上げた。
この城の中に彼らの目的である魔族が住んでいる。
近隣の人々を脅し、作物、金品、人までも定期的に徴収している魔族を、イグゼルたちは討伐に来たのである。
強力な魔族の周囲には、魔力に当てられ他の魔族も集まり、魔族の森が出来上がる。
森が整う前や小さい段階で、核となる魔族を仕留めておくのが定石だが、今回の森は広大かつ食物連鎖も整っており、長い間強力な魔族が居座っていた事がわかる。
ここまで森が整うと、ボスとなる魔族は魔王と呼ばれる事がほとんどだ。
城への入り口を探して歩くと、道と正門らしき門が見えた。
見張りはいないが、開かれた門を魔族たちがひっきりなしに出入りしている。
他に入り口は無いかと歩いてみたが、城の裏には食肉植物が群生しており近づけない。
「正面突破するしかないわね」
「いやいや、無理でしょ」
「じゃあどこから入るのよ」
「それは……」
アウラとリーゲルのやり取りを横目に、イグゼルは城を眺める。
「……よし。まずは擬態魔法で偵察をしよう」
歪みあう2人にイグゼルは突然告げる。
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