51.じゃじゃ馬は、突然に

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「雅臣、手伝って。広報室が企画した空母艦載機の広報映像撮影で、教え子だった英太と、直属の上官だった橘さんが一緒に飛行しているところを撮ってみようと思っているの。ネイビーホワイトと、F/A18ホーネットの競演よ。弟子と師匠の競演でもある。航空マニアはよろこぶでしょう。そういう『広報的で華々しい展示プログラム』を、スワローの男だった雅臣に作って欲しい。わかるでしょう。貴方なら。スワローの男がどうすれば格好良く見えるのか。飛行マニアが惚れ惚れするようなプログラムを作って」  そして艦長は、あの凍った琥珀の眼差しで雅臣を貫く。 「これが、橘さんへの(はなむけ)よ。彼にはそんなことは相談していない。いきなり企画に上げるから、私と雅臣とで極秘にやるわよ。いいわね」  雅臣の表情もひきしまった。 「かしこまりました、御園准将。ぜひ、マリンスワロー部隊にいた俺にやらせてください」  そして艦長は心優も見た。 「心優も手伝ってね。いまから橘さんが飛んでいた時の飛行カットをプリントアウトするから、雅臣はそれを参考にプログラムの企画を二日で作って。次の広報のミーティングでサプライズ提案するからね」 「はい。了解です」  これぞ『じゃじゃ馬台風』と言われる、『いきなりはじまる彼女の提案』。雅臣のシャーマナイトの目が輝いた。師匠になる彼女と初めての仕事。台風のお仕事にさっそく携わることができて嬉しいに違いない。
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