470人が本棚に入れています
本棚に追加
/2009ページ
「だ、だめ。もど…るっ」
「舐め…」
「舐めちゃだめよ!!!」
理は私の手から離れてブラウスのボタンを外そうとするけど、私が理の腕をグッと掴んで、
「だめ!戻ります!」
と言うと、理は何故か半泣きな顔になって、
「な、なんでだよーーー!!」
と目一杯叫んだ。階段に、理の声がエコーかかって響き渡っている。理は「はあっ」とため息をついて私から少し離れると、
「仕方ねぇ。戻るか。くそっ。せっかくのチャンスなのに。外出禁止令が今だけ解かれたのにさっ」
と小さく呟くと、背中を向けて階段を上がり始めた。私も「ふうっ」とため息をついて髪の乱れを少し直して、理の後ろについて階段を上がっていった。階段を上がるのは、少しまだ腰が痛むような感じ。激痛ってわけではないけど、なんか、ジワジワする。
ん?
そういえば今…。
私は理の腕を掴むと、
「ね、外出禁止令って、なに?」
と言うと、理はギクっとしたように立ち止まって、
「え、あ、いやっ。な、なんでも」
と明らかに動揺して、足早に駆け上がって行った。
「ちょ、ちょっと、理!早く行かないで!」
「知らん!」
「まだ、腰痛くて、そんな早く行けないんだからっ!」
私が叫ぶと、理はピタッと立ち止まってゆっくりと振り返り、私の方に駆け降りてきた。
「わりぃ。うっかりしてた。ごめんな。きついか?抱いてってあげようか」
理はそう言ってまた私の肩を抱き寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!