05.雨に濡れたふたり*

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 二人の足音が、ばしゃばしやと音を立てる。全身はもうびしょ濡れだ。どこまで走るのだろうと不安になり始めていたら、すぐに猛は立ち止まった。 「ここは……?」 「俺の家」 「えっ!」 「悪い。俺の家が近かったから連れてきちまったが……嫌だよな?」 「そ、そんなことないです」 「服も濡れちまってるし、雨宿りして風邪ひくよりいいだろ」 「すみません……お、お邪魔します」 「今日は誰もいないから遠慮すんな」  ほっとするような、そうでないような。  くるみは導かれるまま猛の家に上がる。  案内された猛の部屋は想像通りすごく男の人っぽい部屋だった。青を基調にしたベッドやカーテン。でも、ところどころに飾ってあるキーホルダーやマスコットがどれもこれもかわいらしくて、つい目に入ってしまう。 「このマスコットかわいいですね」  思わず手にとっていたはうさぎのマスコットだ。ふわふわしていて手触りもいい。彼の風貌からすると相当意外なものだけれど、今となってはそう驚かない。 「あ、ああそれかわいくて、つい買った」 「意外だけど、なんかわかります」 「……そうか?」  照れくさそうに猛は笑った。 「そんなことより、服着替えるだろ?」 「ええっ!」 「濡れたままじゃ風邪ひく。そのために連れてきたんだ。脱いで拭け。その間に乾燥機にかけるから」  テキパキとした対応に頭が下がる。 「ありがとうございます! じゃあ、着替えます」 「ああ、服持ってくる」  猛が部屋を出て行ったのを見届けると、くるみは濡れたカットソーを脱ぎ始めた。下着に まで水が沁みている。さすがにこれを洗濯してもらうわけにはいかないけれど、少しの間だ け外して乾かしたい。  プチ、とブラジャーのホックを外した。 「そうだ百瀬。飲み物は――」  ガチャリとドアが開く。
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