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ピットウォールを飛び越えてコースに侵入。
朝もやの残るサーキットを今日の定位置であるポールポジションからランニングスタート。
約6キロ近いサーキットのランニングは慣れていない人は疲れるのかもしれないが。
基礎トレーニングとして普段から取り入れているので俺にとっては苦ではない。
昨日のレース1で走り、更にはつい先ほど夢でも走ったコースを点検するように進む。
雨上がり、今日はグリップしずらいだろうな。
今日開催されるのは4つのカテゴリー、俺が走るのは一番最後のレース。
国内の中で元MotoGPレーサーなど、ベテランが走る人気のあるカテゴリーだ。
まだ17歳の俺が本来走るカテゴリーではないかもしれない。
本当なら今年は日本にいるはずがなかった。
ロードレーススペイン選手権GP125ccクラスで走る話が出ていたからだ。
でも、その前に俺にはどうしてもやり遂げなければいけないことがある。
だからチームオーナーに無理を言い、1年だけこのクラスで走ることを許してもらったんだ。
シケインを抜け最終コーナーが見えた、その時。
開けてきた視界に映ったのは、最終コーナーの壁に向かって立ち尽くす人の姿。
その背中に足を止めた。
なんで、あんたがここにいるんだよ!
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