27人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
1 旅立ちを前に
子育ては、振り返るとあっという間だと、つくづく思う。
結婚3年目に息子の優喜を授かって、日々変わっていくかのような幼少期から、
行事や進学などに当人以上に張り切ったり、反省したり、ドキドキしていた
学生期。
その間、優喜は大きな反抗期もなく、私たちは仲良し家族のまま彼の成長する時を共に過ごしてきた。
そして、そんな優喜が生まれてからの子育ての間、大きな変化を見せたのは
息子よりも夫の冠くんだったと思う。
どうやら世間一般として、女親は息子に甘くなる傾向があるらしい。
そのご多分に漏れず、私も、気付くとついつい優喜には甘くなりがちだった
ことは自覚している。
しかし冠くんは、いくつになっても甘々な夫の顔とは裏腹に、息子には将来的に
自立を促すような、理論的で筋の通った父親の顔で接していた。
だから、小さい頃から叱る時にも声を荒げる代わりに、何が、どうして悪いのかを
優喜が納得するまで年齢に合わせて説明し、反省と結論に導いていた。
同時に、息子の成長と共に、生活面から経済面まで自分で出来る事を増やすように
促していたと思う。
だから、優喜が5歳になる頃から歌を歌いながら洗濯物を一緒に畳むようになり、
小学校に上がった頃から恒例になっていた親子キャンプを機会に、少しずつ優喜に
料理を教え、楽しんで憶えるようにしていっていた。
最初のコメントを投稿しよう!