第1話 一匹狼と人気者

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 俺が投げやりに折れると、時任はニコニコとご機嫌に自分の弁当箱を広げ出した。  ――やっぱり、コイツは苦手だと思った。  それ以降も時任は何かと声を掛けてきた。断るのも面倒になった俺は、流されるままに一緒に行動する事が増えていった。  まぁ、どうせその内飽きるだろ。それか、コイツも他の奴らみたいに俺に付いてこられなくなって、遠ざけるようになるんじゃないか。……そう思っていたが。  元々運動も勉強も出来た時任は、俺がどれだけ良い成績を出した所で、関係が無かった。むしろ、いっそ張り合うように精を出して、いつも楽しそうに隣に居た。  気が付けば中学の三年間、クラスも部活もずっと同じ。更には、進学先の高校まで一緒だったもんだから、流石に抗う事はやめた。認めよう。――コイツはもう、俺の親友だ。  時任 砂音は、いつの間にか俺にとって、無くてはならない存在になっていた。
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