31.美徳を捨てた先に。
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桜色に染まる道を、息を弾ませながら駆けて行く少女。 遠ざかる背中を、懸命に追いかける。 でも、待ってほしいなんて、望まない。 その背中が見えるだけで、彼の存在が、当たり前にあるだけで、彼女は未だに幻想の中にいるような、そんな幸福を感じていた。 愛しい人を道しるべにできる喜びは、穏花に春爛漫の笑顔を与えた。 .
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