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転移
夕方、自転車に乗ったセーラー服姿の女子高生が颯爽と走っている。
テニスのラケットケースを背負っているらしく、部活を終えて帰宅中なのだろう。
彼女の名前は茜、艷やかな黒髪でポニーテールですらっとした体型であり、胸は小ぶりで控えめなサイズである。
「ただいま~」
茜はいつも通り学校から帰宅し、風呂に入り、
茜は足をマッサージし始めた。
「はぁ~、今日も部活キツかったなぁ~。でも、試合が近いから頑張らないとなぁ~」
マッサージを終えた茜は湯船に寝そべる。
「ふぅ~、生き返る~、部活の疲れが取れるわぁ~♪」
風呂に入って一息ついていると、湯船の真ん中に1mくらいの魔法陣が浮かび上がり、眩い光を放ち始めた。
「やだっ! 何これ?」
天井を眺めて寛いでいたいた茜であったが、理解不能の状況に戸惑っている。
魔法陣は湯船に張ったお湯の上に浮かびちょうど茜の胸部あたりで輝きはじめる。
魔法陣は茜を中心にしてどんどん大きくなり、光は収まるどころか次第に輝きを増していく。
「えっ? ちょっと待ってこれってもしかして・・・」
茜の言葉を遮るかのように光は風呂の中を埋め尽くした。
しばらくすると、光は収まり、元の状態になった。
しかし、そこに茜はいなかった。
さっきまで湯船に浸かっていた茜は魔法陣と共に消え失せていた。
先程まで湯船に浸かっていた茜はあまりの眩しさに目を瞑っていた。
この時、身体を包み込んでいたお湯の感覚が消失していることに気づいた茜は恐る恐る目を開けた。
そこは辺り一面白い場所であり、床に煙がモクモクと這っていた。
直径10m程の丸い部屋であり、
壁の白さと煙以外に何も無い部屋のようだ。
「お目覚めかな?」
「えっ?」
茜は自分の今の状態が分からず混乱している所に見ず知らずの老人に声をかけられた。
声の主を見つけると初老のお爺さんが温かい目でこちらを見ている。
お爺さんが着ている服も白だ。
しかし、赤く染まっている部分がある。
爺さんの鼻の下から服まで血が滴り落ちているからだ。
「はっ、鼻血が出てるんですけど!?」
「これはいいんじゃ。気にせんでくれ。それより、ワシは・・・」
「いやっ、気になるから・・・って、きゃっ!」
茜は今になって自分が裸になっていることに気づき、片手で胸を隠し、もう片方の手で股間を隠した。
「チッ!」
すると、何故かお爺さんは舌打ちした。
「も、もしかして、お爺さん私の裸を見て欲情して鼻血出してないよね?」
「なっ、何言っとるんじゃっ! これはさっきチョコレートを食べ過ぎたからじゃ! 別に女子高生の裸体を見たからってワシは何も感じんぞ」
茜は怪しい目つきで爺さんを見たが、証拠も無いので追求するのを辞めることにした。
爺さんの鼻血が滴り続けているので下に視線を落とすと信じられないものが見つかった。
「きゃっ、テント張ってる。変態よっ!」
そう言って茜は爺さんの股間に指を差す。
「・・・・・」
爺さんは無言であり、言い訳すらしなかった。
「えっ? 何で何も言わないのよ?」
「さ・・さて、お・・・お主も・・気付いてると思うが・・・」
「気付いてるわよ! いい歳して何欲情してるのよ」
「お主は異世界へ転移されることになっておる。ここはその中継地点なのじゃ・・・」
「えっ? 話が噛み合ってないんだけど?」
「ワシはお主の案内人のローカスじゃ・・・」
「お爺さん、・・・もしかして誤魔化そうとしてる? 私の裸を見て欲情したの誤魔化そうとしてる?」
「お・・お主は・・・今までの世界と違い・・魔法やスキルなどが存在する世界に飛ばされる・・・」
爺さんは額に汗を浮かべながら苦しそうに必死で誤魔化そうとしている。
「はぁ~、もういいわ。テントの事は忘れてあげるわよ。だからちゃんと説明してよ。案内人なんだから」
「分かっておる。案内人としての役目は果たさせてもらおう!」
「急に滑舌が良くなったわね」
「まずお主がいた世界にはモンスターはいなかったが、転移する世界にはモンスターがいる。最初の内は苦戦するだろうから、もし見つけたら逃げる事をオススメする。そして、装備を整えたら弱いモンスターから狩るとよいじゃろう。最初のモンスターはスライスがオススメじゃ」
「スライスは危なくないの?」
「ああっ、大丈夫じゃ。奴らは物を溶かして食べるだけじゃ。攻撃は大した事は出来んからのぉ」
「分かったわ。まずはスライムから倒せばいいのね」
「ああっ、そうじゃな。但し気を付けるのじゃぞ。スライムは身に着けている服を溶かすからな。まぁ、お主は裸だから大丈夫だろうがな。はっはっはっ」
「いやっ、いつも裸なわけじゃないし・・・」
茜の身体の周囲を光が包み込み始めた。
「残念じゃが、そろそろ転移の時間じゃな」
「残念? 何が?」
「最後にその場でクルリとゆっくり回ってくれんかのぅ?」
「んっ? はい・・・、何の意味があるのか分からないけど」
そう言って茜はゆっくりとその場で一周回ると、爺さんは満面の笑みを浮かべている。
「一周したけど、何なの?
それに何で笑ってるの?」
爺さんは手をグーにして親指を立てて突き出して言った。
「お嬢ちゃん、良いプリケツじゃったぞい!」
「やだっ! 変態。 ただ私のお尻見たかっただけじゃないの!」
その後直ぐに私は消えて転移した。
「ワシ好みのいい娘じゃったのぉ~♪ プリ尻のお礼じゃ、加護を授けてやるかのぉ〜♪」
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