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今日は磯辺さんと東雲さんの間を持つために来たんだぞ、みずほ!!自分の使命をもう一度思い直して、強く頷く。
右側、二人の方に目を向けると、東雲さんにお酒を飲ませないようにしている磯辺さんと、嫌だ飲みたいっと駄々をこねる東雲さんの攻防が始まっていた。
磯辺さんは、彼に飲ませて、酔わせて、お持ち帰りすることなんて容易いだろうに、それをしない。
きっと本当に彼の心が欲しいんだろうなと思うと、胸がきゅっとなる。
次第に喧嘩みたいになっていく二人に若干ハラハラしながらも、私は微笑ましくその様子を眺めていた。
「だから、いっつも図体の大きいあなたを家まで送るはめになるのは私なんですよ!その上この前なんて他の男と帰ろうとしたら邪魔するし!意味分かんないんですけど!」
「大体、磯辺さんはスカートも短すぎるし、簡単に男を誘いすぎだ。もっとスカートを長くしなさい」
「どこ見てるんですか、変態っ!ゲイのくせに!!!」
微笑ましく、その様子を眺めてもいられなくなったので、私は咄嗟に磯辺さんの肩を掴む。
三人で飲んでいる時ならまだしも、今日は槙さんがいるのだ。そんな東雲さんのプライベートな事実を同期にバラしてしまったら、東雲さんも気まずいだろう。
「でも前に付き合ってたのは女だったよな」
「ああ。どっちでもいける」
「……」
なんだよそれ!!もうどうでもいいわ!!!
磯辺さんも同じようなことを思ったのか、手元のお酒をぐいっと勢いよく喉に通した。
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