自立村

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自立村

「おい、健太。この道で良いのか?」 「来た道、こっちだと思うよ。」 「こんな道、来て無いって!元の道に戻ろうよ。」    僕は松田タケル一二歳。  そして、僕の唯一の友人、佐藤健太。  僕は、臆病者で人見知り。  いつも、友人の健太にくっついて歩いている。  学校では、健太はクラスの人気者、僕は、みんなから健太の金魚のフンまで言われてる。  健太は、それでも僕と遊んでくれる。  同級生だけど健太といたら、凄く頼りがいがあるんだ……  この日、僕と健太は森の中に探検をしに出掛けた。   「あっ、あんなところに大きな池があるぞ!」 「来る時って、あんな池なんて無かったよ。  健太、もう戻ろうよ。日が落ちて来てるよ。」 「タケル、怖いんだろ。大丈夫だって!  太陽が向こうに沈んでいってるから、あっちが西だよ。」 「僕達の住む街は?」 「西だからあっち方面に行けば良いんだよ。」 「さすが、健太。凄いね。」 「何だ……あの池に浮かんでるドラム缶?」 「何か、汚いね!」 「行ってみようぜ!」 「駄目だよ。日が暮れて、どっちが西が分からなくなるよ。」 「大丈夫さ!西の方向に印を付けておけば!」 「いつもこんなんだよ。健太は!」 「タケル、帰りたかったら帰れば!でも、一人で帰れる奴じゃないか。あははっ」 「分かったよ。少しだけだよ。」  僕達は、池に浮かぶ、ドラム缶に近づいた。  ドラム缶には、入り口みたいな開閉口が有った。 「タケル、入れるぞ!鍵は開いてるみたいだ。」 「駄目だよ。もし入って出れなくなったらどうするの?」
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