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そのうちに子どもができて、君の興味は全て子どもに向いた。
君から解放された僕は、やりたい研究に没頭し、何日も帰らないなんて当たり前になった。
ただ、息子の面倒も家事も、家にいる執事や侍女がやってくれるから、君が困ることは何もなかっただろう。
君も、お義父さんも、息子が欲しがる物は何でも与えたと聞いている。
財力と権力で色んな事に融通を効かせて、色んな願いを叶えてあげて、学校で起こしたトラブルも揉み消して。
息子は日に日に、我が儘で、横暴で、手の付けられない子になっていった、って侍女たちが話していた。
昔はあんなに可愛かったのに、とも言っていたかな。
ただ、誰も気づいていなかったみたいだね。
本当に手が付けられないのは、君だって事を。
自分に対しても暴力的になった息子を君は許せず、階段の上から突き飛ばした。
家内の大理石の階段で、攻撃されるなんて思ってもいない息子は無防備で、頭を強く打ちつけながら転がり落ちた。
そしてその後、一度も目を覚さなかった。
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