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息子を階段から突き落とした妻は、久しぶりに僕の元に戻ってきた。
そして彼女らしいお願いをした。
「子育てをやり直したい」
ただ、その発言は子作りを希望しているのではない。
彼女がしたいのは、新たな子どもではなく、【あの息子】の子育てなのだから。
そして僕の進めている研究ではソレが可能だった。
息子は一命を取り留めたものの植物状態で、オリジナルの資料は劣化する事なくいつでも採取できる。
そして妻は、何をもって【成功】と言えるのかわからない、泥沼の子育てを何度も何度も繰り返している。
まるで壊れたレコードのように。
彼女がやり直しを求める度に捨てられている息子たちがどうなっているかは、僕は知らない。
きっとお義父さんが上手に片付けているだろう。
そんな不毛で歪なループは止めるべきであり、その準備はもうしばらくすれば調う。
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