彼の足あとどこまで続く

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 翌日、閉め忘れたカーテンの隙間から射した朝陽に起こされ、心の宣言通り床をきれいに拭き上げた。 「よし、朝ごはんもいいもの作ろう!」  おー! とひとり声を上げキッチンへ向かったとき、違和感が。 「なんか寒い、な……え?」  足元を見ればペディキュアが剥がれかけた私の素足が見える。 「あれ、私……?」  履いていたはずの靴下は床に転がっていて、スリッパもベッド脇に置いたまま。 「は、ははっ」  昨日の夜から今まで裸足で歩いていたとか、笑うしかない。 「あははは!」  あーあ、だめだ。笑っているのに頬は冷たい。拭っても拭っても、とめどない。 ――足あとって残るんだよ  彼に放った台詞が、自分にコーンと返ってくる。消しても消しても残ったまま。 「裸足、寒いじゃん……ねえ?」  涙を拭ってリビングを振り返ると、床はきらきらと光っていた。  キッチンに向かってのびる、小さな私の足あとだけを、きれいに残して。 完
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