Please remember

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今日は送別会があるから、少し遅くなると言ってた圭一郎さん。 22時少し過ぎて、玄関の鍵を開ける音がした。 いつも通りにしようと思ってたのに やっぱり身体が動いてしまう。 「ただいまー」 そんな声に廊下へと出た私は 「おかえり」 と、玄関まで歩く。 「……? なんかあったん? めっちゃ何か言いたそうな顔やん」 圭一郎さんは笑いながら靴を脱いで、何か言いたそうな私の肩を抱く。 「ケーキ買って来たの。食べれる?」 「ケーキ?いや、全然食えるけど」 圭一郎さんが着替えて、手を洗ったりしてる間に テーブルの上にケーキを用意。 「お、ウマそう」 ブルーベリーがいっぱいのった 白いレアチーズケーキ。 二人で並んでケーキを食べた。 「これどこの店の?めっちゃウマいわ」 「駅の大通りのちょっと先にあったの」 「へぇ……あっちの方はまだ行った事無いな、そういや。 ん?何しに行ったん?あんな方まで」 食べながら私を見る。 「……良い病院があるって聞いたから」 私もケーキを口に運ぶ。 「病院?え?調子悪いん?いつから?どこが?」 矢継ぎ早に飛んで来る疑問符に、ちょっと笑ってしまう。 「…………産婦人科行って来たの」 「へ………」 目を丸くして一時停止。 「今ね、妊娠6週目だって」 視線が一度私のお腹に行って 「それ……ホンマに……?」 「うん。……ホンマに」 持ってたフォークを放り出して、抱きしめてくれる優しい腕。 私達を繋ぐ 小さな命ごと 包み込むように……。 …………
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