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「それから秘書業務についてですが。もしこれからも続けて頂けるのであれば、今まで通りお給料をお支払いします。
他にもやりたい仕事があるならば、そちらについてもらってもかまいません。」
へ!!??
えっ、支払い続けるんですか!?
だって、私がしてることって専業主婦がやってることとほぼ同じで、それに対してお給料を支払うってこと!!?
「でも先生、私の仕事内容は専業主婦の仕事内容と変わらないわけで、結婚したらその…」
エプロンをぎゅっと握りながら私が言うと、先生は不思議そうに首を傾げた。
「今まで有給でやっていた仕事内容を結婚したからといって無給にする方がおかしくないですか?貴方のやっている事は給料を貰って然るべき内容ですし、結婚後の貴方は私の妻であり秘書です。
これはあくまで私の意見なので、例えば『家事に金銭が絡むのは自身の家族観に合わない』等のご意見があれば、それは私も考慮します。」
え、
い、いいの…?
それ、私からしてみれば願ったり叶ったりなお話なんですけど、いいの?
私が目を丸くさせていると、二条先生はゆっくりと足を組んだ。
「実際にやってみて、しっくりこなければその都度話し合いましょう。お互いにとってベストなライフスタイルでいたいですから。」
…!!!
な、なんかっ、
この人の感覚、すごい…!!
いいんですか!?
私、そんな状態を享受してよろしいんですか!?
「わ、わかりました、あのっ、でも本当にそれだとなんだか私も落ち着かないので、例えば高見さんの秘書業務もやらせていただいたりとか、そういうこともしますので…!」
私がこういうと、二条先生は「わかりました。」とあっさり承諾。
わ、わぁあ………
なんか私、すごい恵まれた状態になっていってるのでは……
ほっぺに手を当ててみると、うわお熱い。
そりゃそうだ、こんな提案されてると思ってませんでした。
「さて。」
ここで、スクッと立ちあがった先生。
わけも分からず先生の方を見上げると、先生も私の方を見てきた。
で、悪い顔でニヤリ。
「二条の家に結婚前の挨拶に行きましょうか。
悠夏さん、貴方の姑になる人がどんな人間だったか覚えてます?」
今思い出した。
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