◆3つ目 - 逃げたい心

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◆3つ目 - 逃げたい心

彼の大きく暖かい愛に包まれた日々は幸せだった。 だが、ここで3つめの掃除したいものが登場する。 それは【逃げたい心】である。 今まで、希薄な人間関係を持ってきた。 ゆえに愛されると逃げたくなってしまうのだ。 彼が優しければ優しいほど逃げ腰になってしまう。 そして、相手のことを好きになればなるほど失った時の恐怖感が込み上げて来る。 揺れる自分の心を抑えきれず、彼に意地悪なメッセージを送って困らせてしまう。 そう、自分から嫌われるように(けしか)けてしまうのだ。 私は離婚を経験している。 以前の夫も優しい人だった。 だが、度重なる私の自虐的な行為とわがままに怒りをあらわにすることもあった。 傷つけ合う毎日と自分の中の『お掃除ロボ』が、ほとほと嫌になり夫に離婚を申し入れた。 幾度も止められたが、頑として聞き入れない私に彼は渋々印をついた。 私は自分勝手で弱い人間だ。 既婚者の人に想いを馳せないのは、情が深く恋した人に気持ちが絡まってしまうからだ。 そして、人と深く付き合わないのは傷つくのが怖いから。 そんなのとっくにわかっていた。 だから、今回も深入りしないうちにサッサと逃げようと思って私は密かに部屋の掃除をはじめていた。 思い出と不用品を一気に処分して、彼の前から姿を消そうと思ったのである。
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