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そう答えを出した日に、さっそく石沢が利用する
駅で待ち伏せした。二十分ほど待って、石沢が姿を
現した。
改札口にいる矢萩に気づいた石沢は、びっくりして早足
で改札を通り抜けてしまった。まるで矢萩を避けている
ように見えた。
ほんの一瞬のことだったから、矢萩は、あれっと思った
だけで何もできなかった。こんな展開は予想外である。
石沢が飛び乗ったエスカレーターの方を見ているうちに
腹が立ってきた。
なにも石沢に危害を加えるために待っていたんじゃない。
オレは悪いことをする気なんて全然無かったのに。ムラムラ
と怒りの炎が燃え上がった。
翌日、矢萩は石沢に会ったら、どんな態度をとったらいいか、
分からないまま事務所に顔を出した。石沢はデスクから顔を
あげて、「オハヨウゴザイマス」とあいさつした。
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