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「???」
今度は陸攻が首を傾げる番であるらしい。
その様子に内心如何にもリックさんらしいと呟きつつ、アリームは多少長くなりますがと前置きし話を続けるのであった。
「パンツァーワームなる生き物は、ルの国で言う金喰い蟲に非常に似ていますね。
新陸が襲われなかったのは、近くに豊富な餌場があるからだと思われます」
「豊富な餌場?
近くに鉱山が?」
「ありません」
シレッとした口調でムジーフ。
危なくズッコケそうになる陸攻。
そんな2人の様子に吹き出しそうになりながら、アリームは話を続ける。
「テイルウィップ領では完全武装の重戦士部隊を全滅させられる程の獰猛な怪物として認識されている金喰い蟲ですが、実際はそこまで獰猛な生き物ではありません。
恐らく繁殖期のテリトリーに近付いたか、金喰い蟲を怒らせるような事をしたのでしょう」
「この辺りには火山も軍の基地もありませんから、恐らくリックさんが聞いた爆発音は人を襲う大型生物を退治した時のものと考えられます」
「仮に街道上で大型のスチールスコーピオンが退治されたとしたら、何の痕跡がなかったとしても別段不思議ではないでしょう。
スチールスコーピオンの死骸は金属の素材として非常に高く売れますから、あっという間に持ち去られてしまいますよ。
あと、近くに金喰い蟲のテリトリーがあれば、彼等が残らず平らげてしまうでしょう」
内心成程と頷く陸攻。
やがて陸攻の脳裏に、とあるアイデアが電のように閃くのであった。
だが、それを口に出す為にはもう一押しが足りない。
そこで陸攻は、それを獲んと口を開くのであった。
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