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「ええ、本当に、さっぱりして、よかったですね。ほほほほほ。アリスが家宝の花瓶を一つ、割りましたけど……」
お母さまがしれっと爆弾を落とした。
「どの花瓶だ?」
お父さまの顔が青くなる。
お父さま、形あるものはいずれ壊れるんですよ。それが真理ですよね。
心の中で、一人自分に突っ込んでみた。
でも、さすがの私も口に出してまでは言わないわ。心の中でよ、心の中。絶対おこられるもん。
「先々代様がお買い求めた金色の、お高い花瓶です」
お父さまは言葉も出ないようだ。
ごめんね、お父さま。ちょっとは反省しているのよ。
「もう一つの、先日あなたが気に入って買ったツボは、ああ、それもエントランスに飾ってあったやつですけど」
お父さまが飛び上がった。そして、花瓶を抱えて慌ててまた戻ってきた。
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