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日が暮れ、駒ヶ岳が見えなくなった窓辺。でも今宵も春の朧月が湖面を優しく照らしている。
「西園寺君、ソムリエとしてお客様への接客とサーブをお願いします」
「かしこまりました、甲斐チーフ」
水芭蕉が咲いたらここを去ってしまうけれど、いまも皆のお師匠さん、甲斐チーフ。
「では十和田さん。最後の確認をお願いします」
「はい。西園寺チーフ」
美しくも冷たい目が、どことなく懐かしい新しい上司、シェフ・ソムリエの西園寺チーフ。
秀星の形見、フランス製の銀のワインテスターを指にひっかけ、葉子はスパークリングワインと、デザートワインの味を確認する。
銀のテスターに、窓辺からこぼれてくる夜灯りがほんのり反射する。
今夜も大沼の夜空に、北極星が瞬く。
小樽産、貴腐葡萄のデザートワイン。
ずっと前のあの人の薫りが蘇る。今日も葉子のそばにいる。
後日談2 トロワ・メートル(終)
約一ヶ月の連載、おつきあいありがとうございました✨
続編3もできたらなあと考えています。また、いつか(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ
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