プロローグ

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プロローグ

これで何度目だろうか。 「結衣(ゆい)ホントごめん。もう絶対二度と死んでもしないから。俺には結衣しかいない」 彼氏の浮気。これで4回目、だと思う。だからこうして目の前で頭を下げている光景を見るのも4回目ということになる。すっかり見慣れた後頭部。つむじの位置もばっちりと把握できるほど。 「マジもう絶対しないから。女の連絡先全部消すから。二度と結衣を不安にさせないようにするから。お願い許して」 彼の部屋で行われている謝罪会見。毎回毎回思うけど、もうちょっとマシなことを言えないのだろうか。二度とって言葉を今まで何回使ってきたんだって話。 この男は人生を何度もやり直しているのだろうか。一度の人生で二度とって何度も使うべきじゃない。使えば使うほど信頼度が落ちるって分かっているのだろうか。 「結衣、好きだよ」 上っ面のものとしか思えなくなった。最初は嬉しかったその言葉はこの状況を乗り切るための卑怯な手段になってしまっている。
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