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 そして、今。  近くのコンビニの駐車場に停めた私の車の、助手席には龍崎さん。その後ろの席には……松田さんがいて、イヤホンをして受信機とにらめっこしている。  当初、松田さんを呼ぶつもりはなかった。だけど、龍崎さんから話を聞いた彼が、どうしても現場突入に自分も参加させてくれ、報酬はタダでいいから、と言って聞かなかったのだ。私は驚いたが、そこまで言われたら、彼にも参加してもらわないと、という気持ちになる。 「……始まりましたよ。寝室ですね」松田さんがポツリと言う。彼はあらかじめ、私たちのマンションに盗聴器を仕掛けておいたのだ。 「分かったわ」  シフトレバーを一速へ。クラッチをジワリとつないで、私は車を発進させる。 ---  家のドアを開けた瞬間に、もう島田 明日香の声らしいものが響いてくる。どれだけ大声を出しているんだか。  抜き足差し足で、私たちは寝室に向かう。島田 明日香の声に加え、ギシギシとベッドがきしむ音も聞こえてきた。 「(いくわよ)」
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