悪戯な猫

　あれから一年経った。

　私を襲った看護師はスマホから大量の強制わいせつ動画が見つかり、今は檻の中に入っている。
　他にも色々やらかしていたと噂を聞いた。どうやら権力者の息子で、怪しい事をしても揉み消されていたようだ。

　私は修理したロボットをモデルにしたリアル過ぎるペットロボを販売したら大人気になった。研究室の先輩が立ち上げた会社で量産してもらう事になったのだ。おかげで本物と見分けがつかないと社会問題になったりして大変だった。
　今はわかりやすくて真似できない首輪もどきを組み込むことで対処している最中だ。

　史春に合わせて引っ越した私は通勤時間もかかり目の回る忙しさだった。最近やっと仕事の引き継ぎが終わり、ロイヤリティを得ながらゆっくり過ごしている。
　今後のロボット開発をどうするかは全くの未定だ。

　うちの黒猫ロボはというと……特に変わった動きは見せない。時々観察してみるがプログラム通りの動きや鳴き声しかしない。
　でも時々、私が外から帰るとありえない高さでくつろいでいる。
　ジャンプ力も爪も牙も、ペットロボに改造する前と変えていないのに。

　史春を見ると彼はいつも楽しそうに笑って何も言わない。だから私は、彼のイタズラだと決め込んで何も聞かない事にしている。