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私の幸せ生活はどこ?
「男装して。」
その一言で未来が狂った
「何なのよあいつ!男装しろって意味わかんない!」
「まあ落ち着いてください。武術の腕を買われたのですから。」
「分かっているわ!自分でも男なら良かったのにって思うもん!裁縫、お琴は苦手だし剣、弓は得意だし、何より部屋の奥に引っ込んでられないし!」
「拒否権はございませんので諦めて下さい。」
「もう!さっさと準備するよ!」
遡ること数刻……
女房を連れて母屋にいる御当主に面会しようとしていた。女房の名は朱苑、少女の名は香里。少年のような少女。髪が短かったらだれも女だと思わないだろう。
「ねぇ、急になんだろうね。なにか聞いていない?」
「私も何も知りません。香里さまを呼んでこいとだけ。」
全く見当がつかないと言い、申し訳ないと言う朱苑。そんな彼女に気にするな、いつもあいつは突然だから。と香里。御当主にあいつと呼んでは怒られるのだが、なにせ当主は香里の弟。みんな目をつぶっているわけだ。朱苑は香里の乳母であり、世話係でもある。香里は大体予想がついているのだろう、落ち着いている。
「姉さんは『たぶん何処かと縁談を組むとかでしょう?』とか言っているんだろうな。勘とか筋が良い姉さんでも解らないよこればっかりは。僕だって解らないんだから。」
香里の考えを見破るものが屋敷の中央で香里が来るのを待っていた。
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