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「ようこそ、『宇治の宝蔵 』へ」
天蓋にぶつかるかと思ったのに、目を開けばそこは床一面、蓮の花が咲き乱れていた。いや、床ではない。世莉の目には、そこは屋外にしか見えなかった。足元には蓮の花があるが、それはまるでガラス一枚隔てた上に立っているようで、浮いているようにも思える。
「わぁ」
不安定な足元にバランスを崩したが、溺れる者は藁をもつかむ要領で、そばにあった腕をつかんだ。
「……そっち、まだ骨折中」
「ご、ごめんっ!」
ぎろりと睨まれてすぐさま手を放したが、逆の手を差し出される。
「落ちたら戻れん。摑まってろ」
「……ありがと」
こういったフェミニズムなところは、那智の教育の賜物か?
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