1310人が本棚に入れています
本棚に追加
/535ページ
その手を握って、世莉は改めてあたりを見回した。
心地よい風にやわらかい日差しの太陽、ここが極楽浄土だといえば誰しも納得するような景色だ。その景色の中には3本の大樹があった。
そのうちの一本だけがこの景色にふさわしくなく、雷でも落ちたのか、真ん中が大きく裂け、いまだ火をくすぶらせていた。
そしてその木のそばで泣いている、3体のそれはーー。
「河童……?」
自分で口にしても、にわかには信じられずその語尾は自然と上がってしまう。まだ困惑気味の世莉だが、那智はクスリと笑うだけで、その木に近づいていった。
最初のコメントを投稿しよう!