0と1の世界で君とまた出会う

　目の前の巨大スクリーンに数字の羅列が並んでいる。
　先生が一生懸命この数式がどうとか説明をしているが、残念なことにボクを含め一部の真剣に学んでいるクラスメイト以外は眠そうにしている。
　勉強しているみんなもアバターで、寝ていたとしても先生から見えるはずはない。
　ボクはアバターに反映されないように気を付けながらあくびをした。

『おい、蘇芳(すおう)ちゃんと聞いているか？』

　―――しまった。

　どうやらあくびの音が少し漏れてしまったらしい。
　先生が三角のツリ目をさらに尖らせ、こっちを睨んでいる。
　コミカルなロボット風のアバターのせいであまり恐さはないが、声から察するにかなり怒っているのが伺える。

『どうせゲームのやりすぎだろう。学生の本分は勉強だ。ちゃんと睡眠をとれ。』

　まるでボクの生活を見てきたかのように的確に指摘され、何も言い返せない。
　返事を返すわけでもなく、ボクが頷く動作をするのを見た先生はまた巨大スクリーンに映し出される数式の説明を再開した。