第六章

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「そういえば、その近くの映画館で裕太君の好きそうなアニメ映画の上映もあるらしい。折角クリスマスだから、映画を観て早めの夕食を食べて帰るのはどうかな?」 理沙子はほうっとため息をついた。 如才ない、とはこういうことを言うのだろう。まさかいつも映画情報をチェックしているわけでもあるまいし、きっと吾妻なりに裕太がメインで楽しめるようなプランを考えてくれたのだ。なんだか嬉しいを通り越して申し訳ない気持ちになってくる。 リビングで宿題をしていた裕太に呼びかける。 「裕太、クリスマスおうちでパーティーしようって言ってたけど、吾妻さんが映画観てご飯食べに行かないかって、どうする?ママはどっちでもいいよ。」 裕太は顔をあげて「映画って何の映画?」と聞いてくる。 ○○だって、と裕太の好きなアニメの一つの名前をあげると、裕太は飛び上がって「やったー!」と叫んだ。行く行くーと腰に抱きついてくる。 よかったね、でもご飯食べる時はお行儀良くしてね、とたしなめながら、理沙子はやっぱり当日はあのワンピースを着ていくのかな、と考えていた。合わせていく靴とバッグってあったかな?もう美容院に行ってる暇はないな。やだ、白髪とか目立ってないよね。いやでもここですごい気合い入れて行ったら引かれるかもかもしれない。むしろ自然体でいったほうがいいのかも。 頭の中がぐるぐるする。こんな風におしゃれをして出かけるのは何年ぶりだろう。
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