気づかれていた想い

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気づかれていた想い

今年も、勇気がなくて渡せずに、持ち帰ることになった茶色い小さな紙袋。 バレンタインの今日、同期の片桐に渡そうと思っていたチョコだけど・・・いいや、家に帰って自分で食べよう。 ため息をつき、仕事を終えて会社のドアを外に出る。すると、その出口の脇に、片桐が腕を組んで立っていたので驚いた。 「どうしたの?」 聞くと、誰かを待っていたと言う。 「誰?」って聞いたら、「おまえ」って言うからさらに驚き固まった。 ・・・なぜ私? 同期会の予定はないし、待ち伏せされて怒られるミスもしていない・・・はず。 こんなところで、待たれる理由がわからないでいたけれど。 「それ。いつくれるかって思って待ってたんだけど」 片桐が、私の右手の茶色い紙袋を指さした。 私はぎょっとしてしまう。 「ちょっ・・・くれるって、なんでそんなこと思うのよ!」 「去年も結局くれなかったし。今年も、それ持ってオレの後ろをやけにうろうろしてんのに、一向に渡してこないから」 「!?」 気づかれてたの!? 「き、気のせいじゃないのかな・・・」
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