お家に帰ろう

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 私のお家は普通のお家だった。  1人暮らしには勿体ない2階建てのお家で、周囲にはところどころ畑が点在するのどかな田舎だった。私は職場から車で30分程の時間がかかるこのお家に住んでいた。  住み始めてから1週間が過ぎようとした今日、仕事終わりにお酒を買ってお家に帰ってきた。ちゃんとした食事はせずにおつまみ片手に缶ビールやサワー系をグビグビとやっていた。  そして次第に意識が混濁していった。  再び目を覚ました時、壁に掛かっていた時計は12時30分を示していた。どうやら飲んでいる途中で寝てしまっていたようだ。  頭が痛かったが身体を起こし立ち上がる。寝室に向かおうと重い頭に手を当てながら歩き出す。だが両足はお酒で酔っていたせいかまっすぐに歩いてくれない。おかげで私は壁にぶつかってしまった。  壁に上体を預けるように寄っかかる。私が寄っかかっていたところはドアノブのついたドアだった。  このドアがどこに繋がっているか朦朧とする頭で思い出そうとするが、住んでから間もないということもあり思い出せなかった。  早く寝たかった私は見知ったところに繋がっていると信じてドアノブを回した。
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