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回想
藤川聡は、カーテンの隙間から差し込む朝陽の光で目覚めた。
シャーーー。
勢いよく開かれるカーテンの音の後、引き立てのコーヒーの薫りが鼻を刺激する。
朝陽をバックに、魅力的なシルエットがゆっくりとベッドに近づいてくる。
「もう、朝なのか?」
「そうよ、お寝坊さん」
「早いなぁ・・・。もう少し、ゆっくりしたかったのに」
聡は寝返りを打ち、眩しい朝陽から逃げるように反対を向いた。
「刑事さん。ほら、起きないと、事件が待っているでしょう」
「待たせておいてくれぇ。もう少し、マリアの香りに包まれていたいからさぁ」
「ダメよ!起きてぇ・・・」
『そうだ・・・。あの瞬間が、マリアの肌に触れた最後だったなぁ・・・』
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