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消しゴム入ってなかった?
「さっきここに座ってたんだ。消しゴム入ってなかった?」
あかりが席に着くとすぐにその少年は声をかけてきた。
声をかけてきただけでなく、しゃがみ込んで、あかりの机の中に手を伸ばし入れて探っている。
周りのクラスメイトが騒つく。
「え!…いえ、無かったけど」
驚いても注目されるのが嫌だから、あかりの声は相変わらず小さい。
「変だな〜。絶対あるはずなんだけどな〜」
あかりの周辺をキョロキョロと見渡す。
「春樹!行くぞ!」
教室のドア近くで別の少年の声がした。
「しょうがない、か。もしあったら教えて。
ハルキって彫ってあるから」
「え、あ、はい。わかりました」
「ありがと!」
春樹という少年はすぐさま走って出て行った。
スラリとした長身のイケメン。
彼は、この学校に登場した日からずっと目立つ存在だった。
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