冷たい瞳の二階堂さんは

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『なぁ、いい加減オレの女になれよ?』 「残念。それは無理ね。」 『何でだよ?こんなイケメン他にいるか?』 「イケメンなのは認める。」 『じゃあ何がダメなんだ?』 「何度言ったら分かるの?"人間の男"じゃないと お付き合い出来ないから。」 そう言うと、目の前のソラ君はがっかりしたように 項垂れた。 思わず抱き締めたくなるほどのイケメン、今年5才 になったトイプードルのソラ君はトリマーである 私の大事なお客様だ。 ワンッと小さく悔しそうに鳴いて顔を上げる。 お人形のようなくりくりの瞳が可愛くて仕方ない。 ついアプリコットカラーの毛を撫でてしまう。 『こうやって話せるんだから犬だろうが人間 だろうが関係ないだろ!』 「関係あります。」 そう、私は動物と会話が出来るという能力がある。 それは昔から。理由は分からない。 だからトリマーという職業は天職だと思った。 まあ、いろいろ弊害もあるけど。 『だったら俺ん家の二階堂はどうだ?』
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