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浮気調査はいつもの仕事
テーブルをはさんで目の前に座る依頼者の男は、報告書の説明を聞くや満足そうな笑みを浮かべていたが、先野光介にはその笑顔が恐ろしく見えた。これから人殺しでもしそうな狂人の目のようにも感じられて。
「あのう……。裁判にもっていくのでしたら、弁護士を紹介しますよ。当社が提携しています法律事務所がございますので」
不安になり、そう言った。
興信所「新・土井エージェント」事務所に併設された、パーテーションで区切られた面談ブースのひとつ──。所属探偵である先野と、向かい合っている依頼者……。
「裁判……。いえ、まずはこの動かぬ証拠をつきつけたうえで、非を認めさせますよ」
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