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お姉さんは、ショウマさんの手紙と焼き立てのベーグルを私に持たせてくれた。あの日と同じドライイチジクと胡桃のベーグルは奇麗なドーナツ型。
そして手紙にはこんな事が書かれていた。
* * *
『マドカへ
急にいなくなってスマンな。
家族の事情で横浜を離れないといけなくなった。
短い間だったけど楽しかった。ありがとう。
あと、出会った頃に、キツイ事言って悪かったな。
なんとなく、初めて会った時、マドカの目が
寂しそうに見えた。
顔は笑ってても目が笑ってない気がしたから。
昔の俺もそんな時期があったから、
なんとなくほっとけなかった。
だから俺は思ったままの事を言った。
気を悪くしたなら謝る。
あと、「ノルウェイの森」馬鹿にしてごめんな。
お前が怒ったらどんな顔するだろう?って
思って言ってみただけだ。
俺も村上春樹は大好きだから。
(「海辺のカフカ」とかな)
あのな、マドカ。
物事、あんまし難しく考えんなよ。
良い子にならなくたってもいい。
子供はちょっと悪い子なぐらいでいいから。
間違ってたらきっと誰かが叱ってくれる。
少なくとも俺はそうやって大人になった。
じゃあな。
並川 将馬』
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