フレーム

なるべくケンカをしないように、口数が減っていった。

「どこ行くの？」
「コンビニ」

またユウキは冷たくなった。

戻ってこなくなるんじゃないだろうかと、1人の部屋で不安に襲われる。

溝が深まるって、こういう事なんだと思った。
表面上は何も変わらないけれど、心が離れていく。

冷たくされて、傷ついて。
ケンカして、仲直りして。
また冷たくなって、傷ついて。

もう、止めにしようよ。

こんな関係が続かない事は、お互い分かっているのに。

だけど、不思議だね。
それでも好きなの。
もう愛が何なのかさえ分からないよ。

好きじゃなくなるから、別れると思っていた。

好きなのに、この先一緒にいても2人幸せになれないのなら、それも終わりにするしかないよね。

こんな終わり方も、あるんだね。

それは、些細な事だった。
また小さなケンカから、お互い止められなくなって、怒りが大きくなった。

もう、辛い。苦しいよ。
どっちかが言わなきゃ、終わりにできない。

「もう別れようよ、私達」

ユウキはさっきまでの威勢が無くなり、静かになった。

もう、分かってるでしょ？
うまくいかない事を。
ずっと、堂々巡りだ。

「私達、一緒にいても幸せじゃないよね？」

幸せだったのにね。
2人で過ごす未来をいつも想像して、沢山夢を話したよね。

お金を貯めて、数年後には結婚しようか。

結婚式はどうしよう、ドレスは何色がいいかな。

新婚旅行はどうする？
新婚旅行の行き先を巡って、ケンカしたよね。

楽しかったね。

いつから未来を夢見なくなったのかな。

いつから過去にしがみつくようになったのかな。

私達は、あの頃に戻りたいとばかり思っていた。