約10年前の僕と家族

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 約10年前、僕が小学4年生くらいだった頃、ただ単純な幸せが音を立てて崩れ落ちた。  といってもそれは親の借金だとかではない、はたまた親が急に他界したでもない。今までは家族揃って大好きなスポーツを観に行ったり、遊園地に行ったり…… 何をするにも家族で笑っていた。  しかし僕の幸せな生活を壊した出来事、それはたった二つぽっちの事だった。  一つ目はクラスメイトからのいじめ、僕はもともと太っていたが故なのか、それもも何かクラスメイトに反感を買う事をしたのか、それは今になっても良くわからない。  家に来る友達には優しい母がポップコーンをフライパンで作ってくれた。  一年生の時初めてポップコーンを食べたという友達はその味に感動したらしく、その友達の親がポップコーンはどうやって作るのか教えてほしいと母に電話をした。  どのクラスメイトにも優しく、そして相手の気持ちを考えて発言していたのに、みんなして僕を苛め始めた。  そして二つ目、それは母のアルコール依存症、これにより僕だけでなく家族全体が崩壊へと進んだ、今でもそんな気がする。  おそらくだが覚えている限りそれらを組合わせるとこんなことになる。  ある日僕が友達を家に呼ぶ、するとアルコールを飲んでいた母の床に寝転ぶ姿と散乱するアルコールの缶カラを見た友達がそれを面白がり、「お前の母ちゃん酒飲み!!」のような事を言ったのだろう。  そして僕の悲しむ反応が面白かったのかその日から苛めが始まっていった気がする、クラスメイトはいわゆる【箸が転がっていても可笑しい】と思えるような幼い年齢だったのだろう。  そしてそんな状況をいつも助けてくれたのが母の母である、僕にとっておばあちゃんだった。
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