第五章

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そしてワンルームのセンターテーブルに作り上げた料理を並べていく。 だし巻き卵に茶碗蒸し、肉じゃがに水菜のサラダや豚汁を用意してみたけれど、これで大丈夫だろうか。 私の数少ないレパートリーの中で、なんとか人に食べてもらえる料理を作ったけれど、今まで誰かに食べてもらえる機会なんてなかったから、不安しかない。 「うわっ、うまそう!」 だけど、その不安は先輩の声で一気に消し飛んだ。 手洗いを終えた悠斗先輩が部屋に入ってきた途端、料理を見て大きな声でそう言ってくれたのだ。 「本当ですか?」 「ああ、マジでうまそう! 倉橋って前、弁当を作ってくれたことがあるけど、料理うまいよな」 「それは食べてから言ってください……。自信ないです」 「いや、この見た目で白飯が食えるって。すごいな」
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