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一日の終わりに
今日も一日が終わった――――
さーて、寝るかと部屋に行くと、王様が待っていた。
「一緒に眠ってやろう」
素直に一緒に眠りたいって言えばいいものをうろうろとこちらの出方を伺っている。
なんの駆け引きだよ。
「狭いから断る」
「なんだと!?」
ほら、どきなよっ!と、その体を押して断っているのに王様がベッドから退く気配がない。
はあ、仕方ないなーと思いながら、布団に入る。
王様は頭をすりすりと私の顔に摺り寄せてきた。
この眠る時になって、まさかのデレ?
ちょっと嬉しくなりながら、電気を消すよーと言ってパチンと消すと、王様はどすんっと布団の真ん中を陣取って、堂々と眠る。
王様。狭いよ……。
自分のベッドで寝なよ。
しかし、可愛すぎて言えない。
「ちょっと王様?もう少し端っこに寄ってくれない?」
「なぜ俺が?」
ううっ……。
凄まれた。
結局、今日の夜も狭いベッドで眠ることになる。
「おやすみ、王様」
王様の温かい体温に眠くなり、目を閉じた。
どんなに威張っていても我儘でも許してしまう。
そう。なにもかも。
―――私の家には王様がいて、その王様は『ニャア』と鳴く。
【了】
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